どうも、みとま しんです。
メジャーな投資対象である上場株式と債券。
一方、それ以外の投資対象はオルタナティブ資産と呼ばれます。
私も含め長期・分散・積立投資で資産形成を目指す人にとって、オルタナティブ資産への投資は必要なのか考えてみました。
まず結論です。
無理にオルタナティブ投資をする必要はない
株式や債券に加えオルタナティブ資産にも投資することで、分散効果が期待されます。
しかし私はオルタナティブ投資のデメリットを重視しこの結論に至りました。
これからオルタナティブ投資について私なりの見解をお伝えします。
以下のような方の判断のお役に立てればと思います。
- オルタナティブ投資の概要を知りたい
- 投資対象が上場株式や債券だけで良いか考えている
それでは解説していきます。
オルタナティブ投資とは何だろう
オルタナティブ投資とは、伝統的資産と呼ばれる上場株式・債券以外の投資対象への投資です。
オルタナティブ(alternative)という言葉には、「代わりの」「代替の」という意味があります。
オルタナティブ資産をアセットアロケーションに組み入れることで、伝統的資産との分散効果(資産全体のリスク・リターンの改善)を狙います。
オルタナティブ投資の主な投資対象
投資対象 | 解説 |
---|---|
不動産 | 土地や建物 |
コモディティ | ゴールド、原油、トウモロコシなど具体的な商品 |
ヘッジファンド | 様々な投資手法を駆使して、どんな相場環境でも収益を目指すファンド |
ベンチャー・キャピタル | 創業間もない企業 |
プライベート・エクイティ | 未公開株式 |
天然資源 | 農地や森林 |
各国の年金基金や大学の基金がオルタナティブ投資をしている
世界の年金基金や大学の基金で、オルタナティブ投資は取り入れられています。
狙いはやはり、株式や債券と低相関の資産を組み合わせて運用リターン・リスクを改善することです。
イェール大学基金などは資金の8割弱をオルタナティブ資産に振り向けています。
その結果、1985年から35年間の平均運用利回りは10%を軽く超えています。驚異的です。
でも、真似はしません
だからと言ってこの投資手法(オルタナティブ8割)を安易に真似するとヤケドをしそうです。オルタナティブ投資には、以下のようなデメリットが潜んでいるからです。
【オルタナティブ投資のデメリット】 注1
- 仕組みが複雑な商品が多く、コストが分かりにくい(=期待リターンも不明)。リスクも分かりにくい。
- さらにコスト控除前の期待リターンは、株式と比較して高くないものもある。
- 流動性が低い(すぐに換金できない)。
- 最低投資額が高額。
こうしてみると、オルタナティブ資産を資産形成のメインにはしづらいと感じます。
特に、コスト・リスクが分かりにくい点は大きなデメリットです。
これらが分からないまま投資をしてはいけません。
よほど投資対象への理解と確信が無い限りは、伝統的資産(株式・債券)中心に資産形成していくのが王道ではないでしょうか。
金(ゴールド)への投資について
古くから価値を認められてきたオルタナティブ資産、ゴールド。
ウクライナ情勢もあり、「有事の金」として注目を集めています。
ここからはアセットアロケーションにゴールドを組み入れる必要性について考えてみます。
無国籍通貨、ゴールド
前回記事でご紹介した本『金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論』(レビュー記事はこちら)によると、ゴールドについて以下のように記述があります。
現在でも世界中の中央銀行が金を準備資産として保有しています。このように考えてみると、金にはいつでもどこの国の通貨にも換えられる「無国籍通貨」としての側面があることが分かります。その意味で、金(ゴールド)は世界最強の通貨です。
引用元:金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論|北村 慶|朝日新聞出版
ゴールドは地球上どこでも使える通貨。
著者の北村氏は、この特性が以下のような極限状態で活きると論じています。
「どこの国の通貨でもない通貨」である金を持っておくことは、戦争に巻き込まれ国外に脱出する、円が暴落して紙屑同然になる、といった極限状態において意味があります。
引用元:金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論|北村 慶|朝日新聞出版
なるほど、平時はゴールドETFを保有しておき(金への保有方法はいくつかありますが現状ではETFがベターかと思います)、いざとなれば現物に変えて国外へ移住することも考えられます。
地球上どこでも、普遍的な価値を認められている資産というのは強いですね。
有事で実際に役立つか問題
ただ、それでも私はゴールドへの投資には消極的です。
保有するとしてもサブ的な位置づけになるでしょう。
いくらゴールドが有事に強くとも、自分が異常事態の当事者になったとき、その恩恵を享受できるか微妙だからです。
例えば戦争のような異常事態で・・・
- ゴールドのETFを現物に交換する機能が維持されているのか。
- 現物に交換できたとして、ゴールドを所有しながら身の安全を確保できるのか。
- そもそも一般人が国外に脱出する術が残されているのか。
このように有事の環境下では、無国籍通貨としての価値を発揮できないのではないでしょうか。
ゴールドを保有していようがいまいが同じように危機に晒されると思うのです。
そして、ゴールドを長期保有しても価値は上がりません。
ならば平和を願いつつ、株式や債券に投資しリターンを狙うのが得策だと考えます。
仮想通貨への投資について
仮想通貨の組み入れについても考えてみます。
仮想通貨は、古くから人類と共にあるゴールドとは対照的に、非常に新しいオルタナティブ資産です。
ここ数年で存在感が大きくなってきました。
ただ、現時点では安易に手を出せる代物ではないでしょう。
分からないことが多すぎるからです。
仮想通貨は、分からない…。
- 仮想通貨の仕組みを理解することが難しい
- 歴史が浅いためリターンやリスク、相関係数などのデータが不明
また長期保有で値上がりする根拠が無く、信じて保有し続けることが難しいです。
仮想通貨で巨額の儲けを得た話を見聞きすると「すごい!」と感じます。
しかし、分からないもの、長期的に価値が上がる裏付けのないものに投資すべきではないと判断します。
まとめ
よほど深い理解と確信が無い限り、無理にオルタナティブ投資をする必要はないと思います。
よく話題に上がる金(ゴールド)、仮想通貨への投資についても同様です。
理由は以下のとおり。
金(ゴールド)
- 現実的に有事で役立つか怪しい。
- 保有していても価値が上がらない。
仮想通貨
- 仕組みの理解が難しい。基礎となるデータも不明。
- 長期的に価値が上がる裏付けが無い。
やはり、伝統的資産である上場株式・債券をメインに資産形成を図るのが得策だと考えます。
注1)参考資料
金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論|北村 慶|朝日新聞出版
オルタナティブ投資は個人の運用にも必要か・【マネートーク】山崎元&荻野奈緒美の、儲かるかも知れないホンネ・トーク!|YouTube
オルタナティブ投資を理解する|PIMCO