どうも、みとま しんです。
投資を始めるにあたって、入門用の本で勉強することは良策だと思います。
体系的な知識を効率よく獲得することが出来るからです。
先日読んだ本が、分かりやすく投資の王道を説く良書でしたのでご紹介します。
本書を一言で表すなら、
投資が本業ではない「ふつうの人」向けに、まっとうな資産運用について解説した本です。
特に以下のような課題をお持ちの方にはぴったりです。
- 投資の必要性を感じている。
でも、投資というものの得体が知れず一歩を踏み出せない。
また、実践する方法が分からない。 - 投資を始めてはいるが、理解が曖昧な部分を学びなおしたい。
知識を補強したい。
この本の素晴らしい点は、その分かりやすさです。
個人が知っておくべき資産運用の理論と、筆者の北村氏がベストと考える運用方法が、平易な言葉で解説されています。
筆者の体験談や具体例も豊富であり、投資初心者にも理解しやすい内容となっています。
また、内容の充実度もなかなかのものです。
老後資金2000万円問題や近年の株式市場の分析、オルタナティブ投資など様々なトピックが登場します。
既に投資を始めている方が理解を深めたり、知識の肉付けをするのにも役立つでしょう。
本の概要
この本では、日々を暮らす「ふつうの人」が実践すべき投資とはどのようなものか解説されています。
著者の北村慶氏は、東証一部上場企業のCFOを務める金融のプロ。
その豊富な経験を交えながら、市井の人々の目線に立って資産形成について解説していきます。
内容はザックリ以下のとおり。
- 著者の長期・分散・積立投資実践記
- 個人が知っておくべき資産運用の理論と実践法
- 様々な投資対象についての考察
それではレビューに入っていきます。
普通の市民が行うべき投資とは
この本で著者の北村氏が最も伝えたいのは、以下の内容だと感じました。
長期・分散・積立投資こそが、普通の市民が行うべき投資の王道である
引用元:金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論|北村 慶|朝日新聞出版
私もこの意見に同意します。
なぜなら長期・分散・積立投資は、以下のような特徴を持った投資だからです。
長期・分散・積立投資の特徴=神経をすり減らさずに済む投資
- 元本割れの確率をなるべく下げ
- 日々の値動きを耐えられる範囲内に抑え
- 買うタイミングを気にしなくてよい
日々を暮らす上では、投資以外にしたいこと・やるべきことがたくさんあります。
毎日忙しい。
エネルギーも使う。
困りごとだって抱えている。
そんな生活に投資を取り入れるとしたら、上記のような神経をすり減らさずに実践できる投資だと思うのです。
このニーズに、本書で紹介されている「インデックスファンドを用いた長期・分散・積立投資」は応えます。
堅実に、心の平穏を保ちつつ資産形成できるこの手法。
これこそ「ふつうの人」の資産形成の王道だという北村氏の主張に、異論はありません。
私の投資スタイルも、インデックスファンドの長期・分散・積立投資です。
なお、購入するファンドについては8資産均等型のファンドが推奨されていますが、必ずしもこれにこだわる必要はないと思います。
北村氏の考えも参考にしつつ、自分が納得できるファンドを探すのも良いでしょう。
私の場合8資産均等型ではなく、株式と債券を時価総額比で組み入れたファンド(セゾン・グローバルバランスファンド)に投資をしています。
曖昧だった知識がクリアに
本書は、長期・分散・積立投資を既に開始している方にとっても有益です。
基礎知識を固め、投資法への納得感を持つことが投資を継続する上で重要だからです。
私も多くの学びがありました。
2点挙げます。
債券投資について
2019年の債券の発行残高は105・9兆ドルであり、株式(95兆ドル)と合算した資本市場の規模は200兆ドルを超えています。
引用元:金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論|北村 慶|朝日新聞出版
世界の株式の時価総額と債券の発行残高については初めて知りました。
どちらも約100兆ドル、とてつもない規模です。
ここで頭に浮かぶのは、債券不要論。
債券にはこれほどの規模があり、今のところ今後10~15年の期待リターンもプラスです。
※J.P.モルガン・アセット・マネジメントの2022年版レポートによる。
株式との分散効果もあります。
このような投資対象を切り捨ててしまうのは、不自然に感じます。
相関係数について
各資産間の相関係数について、以下の太字部分の理解が曖昧でした。
各資産間の相関係数
相関係数 | 値動き | 分散効果 |
---|---|---|
1 | 全く同じ | なし |
0 | 全く無関係 | あり |
-1 | 全く逆 | あり |
相関関係について理解が曖昧だった部分(太字)が、本書を読んでクリアになりました。
ここは長期・分散・積立投資の基礎の部分。
分かったつもりになっていましたが、理解が浅かったです。
ここが盲点になっている方、意外といらっしゃるのでは!?
惜しいところ
惜しいと思った点もあります。
それは、長期投資の有効性を説明する際に提示されるデータが、アメリカと日本のものにやや偏っていた点です。
私は国際分散投資を志向するので、全世界の株式や債券のデータも入れてほしかったです。
例えば、本書の以下の説明。
重視すべきは、投資利回りの安定性であり、最低利回りが少しでも高いこと、です。これらの2つは、投資期間を長くすることで実現できます。
引用元:金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論|北村 慶|朝日新聞出版
要は、投資期間が長くなると年間の収益率はその資産が本来持つ収益率に収斂するということ。
そして元本割れの可能性も小さくなるということです。
この説明の際、アメリカと日本の過去データが使用されていましたが、全世界の株式や先進国債券のデータもあれば嬉しかったです。
ただ、これにより本書の価値が減じるわけではありません。
本書のコンセプトは、市井の人々に平易な言葉で資産運用を指南することだからです。
分かりやすさを優先して採用するデータを絞る判断は理解できます。
深い投資知識を求める方には物足りないかもしれません。
しかし、そうではない「ふつうの人」がまっとうな投資の全体像を把握し、行動に移すには必要十分な情報が詰まっていると思います。
まとめ
「ふつうの人」が実践すべき投資について易しく解説する本書。
著者はインデックスファンドを用いた長期・分散・積立投資を薦めています。
また、理解しやすいだけでなく投資経験者にとっても学びになるような情報が盛り込まれています。
本書は以下のような課題をお持ちの方におすすめです。
- 資産運用の必要性を感じているものの、投資というものの得体が知れず怖くて一歩を踏み出せない、実践する方法が分からない。
- ある度投資歴はあるが、知識の曖昧な部分を補いたい。
市井の人を、平易な言葉でまっとうな投資に導く良書です。
投資未経験者~初心者に特におすすめしたいと思います。